ブラックな短編集 ※ネタバレあり

犬の生活
2018年1月23日 6:16 pm / ポッチ
BL(ボーイズラブ)情報サイト ここらぶ

全部で8つのお話が収録されている短編集です。

どの作品もバッドエンド、ではない。ないけれど、ほとんどの作品がブラックな雰囲気に満ち溢れていて、読み手を選ぶ作品かもしれません。痛い、というのとはちょっと違うのですが、人や動物を殺めるとか、そういった犯罪行為も普通に描かれているので苦手な方はご注意を。

表題作『犬の生活』

犬として一人の少年のもとへと買われてきた(はっきり描かれているわけではないですが、おそらくそういう意味だと思われる)桂が主人公。
なぜ、「犬」として買われたのか。
そしてともに過ごすうちに徐々に育っていった主人である総一郎への恋慕の想い。
その後、総一郎(というか彼の父親)から捨てられたこと。

BL(ボーイズラブ)情報サイト ここらぶ

断片的にではあるが、そういったバックボーンが読み取れるストーリー展開は非常にお上手。

父親の借金から逃げる総一郎と、総一郎の家族に捨てられた桂が、その後に歩んできた人生と、どん底の中で再会した彼らの恋のゆくえはいかに。
彼らの行き着く先に安穏とした幸せがあるようにはどうしても思えず、けれど何を捨ててもお互いがいればそれで良いと願う彼らの想いに、萌えを感じました。

BL(ボーイズラブ)情報サイト ここらぶ

『方舟管理人』

BL(ボーイズラブ)情報サイト ここらぶ

とある離島で、動物の世話をしている二人の男のお話。
何をしているのか、なぜそんなことをしているのか。
序盤全く分からずに物語は展開していきます。

彼らが行っている行為、そしてその理由。
明るい雰囲気とは裏腹に、がっつりダークな裏社会を描いた作品です。

BL(ボーイズラブ)情報サイト ここらぶ

『夜夜』

吸血鬼に血を吸われて吸血鬼になってしまった青年のお話。
穏やかな性格で、人に害を及ぼすこともない。たまたま吸血鬼に狙われ、吸血鬼になってしまっただけの青年・ヴァレリー。

BL(ボーイズラブ)情報サイト ここらぶ

彼の絶望と孤独に思わず胸を締め付けられましたが、その後ある手違いをきっかけに一人の少年と出会う。
その少年・和史の天真爛漫さに、ヴァレリーだけではなく読者も救われるのですが、それでも時間の流れが異なる彼らの「これから」を思うと、完全なハピエンとは言えないんじゃないかなと個人的には思うのです。

『解体屋』

これはかなりシリアスというか、ダークというか、人によっては地雷な作品かと思います。

リーマン・比嘉の裏の顔は死体の解体屋。
元々医大生だった(大学は中退し、現在はリーマンをしている)比嘉が、そんな裏家業をしている理由が、なんとも言えず怖い。けれど、彼は自分で自分の「闇」を理解していて、制御するすべも知っている。

そんな比嘉の恋人が健気すぎて泣ける…。
色々な愛のカタチがあるんだな、としみじみ思ったりしました。

『モノマニア』

ウリをしている大学生の崇が主人公。
彼の最近の客は、目をふさぎ、声を抑え、まるでモノのように振舞わないとセックスができないというちょっと変わった性癖の持ち主。 彼を愛してしまった崇は、彼に会ってもらうために、抱 いてもらうために、「物」であり続けようとする。

崇の想いが通じ、晴れて恋人同士になったハピエンのお話。

と思わせて、最後のその客・三田村のどうしても拭えない性癖になんとも哀しくなる。
崇が、すべてをあきらめて受け入れている様子に胸が締め付けられる。

『犬のように駆けてゆくよ』

「超」が付くほどの短編。
恋するDKが可愛いです。

 

『春の足音』

書道教室に通うDK・洋介が主人公。
高校生になる今でも書道教室に通うのは、書道教室の先生、エンちゃんが好きだからだ。

でもエンちゃんは洋介の求愛を華麗にかわし続ける。

洋介のエンちゃんに対する恋心。
そして、まだ子どもである洋介を慮るエンちゃんの大人としての分別。

可愛く、そしてほっこりする恋する男子たちのお話でした。

『ドアを叩いたのは誰だ』

駅の階段で、アクシデントに見舞われ足を骨折した青年・外村くんのお話。
入院中、木内という男性がお見舞いに訪れ、そして告白される。

初めて出会った、しかも同性である木内さんからの突然の告白に戸惑う外村くんだけれど…。

主人公は外村くんで、彼視点でストーリーは展開する。
けれど、このお話で描かれているのは、木内という男性の過去のトラウマだったり、そこから引き起こされるネガティブな思考だったり。そして、何より外村くんへの恋心。

この短編集はシリアスな作品が多いですが、この『ドアを叩いたのは誰だ』は、まさに王道のBL、といったストーリー。木内さんの健気さに、めちゃめちゃ萌えました…。

タイトルも秀逸。読み終えてからタイトルを見直すと、その秀逸さに驚く。

モヤっとするというのか、ダークというのか。
甘々でほっこりなお話を求める方にはお勧めできないのですが、若干病んだダークなお話が読みたいという時にはぴったりな1冊かと思います。
個人的にはとてもツボに入る、短編集でした。

 

 

 


関連記事

ランキング

  • DAILY
  • WEEKLY
  • ALL

DAILY

WEEKLY

ALL

タグ一覧

おすすめ